社会不適合オバちゃん

社会不適合オバちゃん

思い込みで生きていく

今生、二度と会えないんだね ②

 

私が仕事中に  病院から連絡が入った

 

 

「ご主人の血圧が  異常に低いので

   急いで  こちらに来てください」

 

 

職場の人にお願いして  とりあえず家に帰り

子供達の学校に連絡して  早退させた

娘はタクシーで直接病院に向かわせた

 

 

〝間に合うかな〟

 

 

息子を車に乗せ  飛ばしている間にそう思った

 

 

私と息子が先に到着した

急いで病室に向かう

 

 

部屋に入った直後

 

 

「おー   来たんだー」

と  ダンナが元気そうに言った

 

 

 

へ⁇     危なかったんじゃないの⁇

 

 

 

病院が私に連絡したあと

すぐに  回復したらしい

 

 

 

 

 

もー  脅かさないでよー

車  飛ばしてきたんだからー

勘弁してよー

 

 

後から駆けつけた娘も  拍子抜けしてた

 

 

ま  生きてたから  いいんだけどね

 

 

その後  職場から連絡が入り

「もう  旦那さんのそばに居てあげなさい」

そう 言ってもらい  しばらく仕事を休ませてもらった

理解者が多くて  ありがたい職場だ

 

 

翌日からは  ダンナが逝ってしまうまでの1ヶ月間

面会時間が始まる何時間も前から  毎日会いに行った

病院側も何も言わなかった  

 

 

 

ダンナの身体の中は  手の施しようがなかった

過去に三度  9時間を超える手術に耐えたが

もう  医師が出来ることはない

 

 

水分補給用の点滴だけを繋げて

食べられそうなものは  何でも食べていいと言われた

 

 

 

 

「うどん  少しだけ食べたいな」

 

 

 

 

ダンナのリクエスト  簡単すぎ

そんなんでいいの

 

翌日  クッタクタに煮た  かけうどんを作って

病院に持って行った

 

自分で器を持って食べられないので

私がダンナの口まで運ぶ

 

 

つゆをひとさじ  麺を5センチだけ食べて

 

 

 

「ありがと  もう  いいよ」

   

細々と言う

 

 

 

 

 

 

 

毎日  少しずつ  枯れていくダンナ

あんなに  筋肉質で  力持ちだったのに

 

 

 

 

 

目をそらすまい

 

 

 

ダンナの残りの人生  焼き付けておこう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続きは〝今生、二度と会えないんだね ③〟 で😊