今生、二度と会えないんだね ③

人間の身体って  すごいなって思った

食事を一切  食べられなくなったダンナは

水分補給用に  点滴だけを打ち続け

何週間も命を繋いだ

骨と皮

毎日見ている  私も辛い

生きてて欲しいけど

やっぱり  辛い

余命宣告どおりなら  六月まで持つはず

なら  桜が咲いたらスマホで撮って

見せてやろう

ダンナの身体は  癌に蝕まれていた

幸い  痛み止めの薬が良く効いたので

痛がることは無かったが

吐き気がひどかった

食べ物が胃袋に入っていないので

胃酸を通り越して  緑色の胆汁を吐き続けた

少量の胆汁を  何度も  何度も  吐く

その度に  私が背中をさする

「早く  死にたい」

我慢強いダンナが

さすがに  弱音を吐いた

楽になって欲しいけど

少しでも  この世にいて欲しい

生きていられる人間の  エゴだよね

ひと言  ふた事  喋るのも辛そう

モウロウとしている時もある

半分  あちらの世界に  行っているような

「元気になって  早く退院しなきゃ」

早く死にたいと  言っておきながら

支離滅裂な事を  時々言う

主治医に  話があると  言われた

「思っていたよりも   ご主人の病気の進行が

    早いです   おそらくあと  ひと月ほどかと‥ 」

そうだよね

苦しみながら  六月までなんて

かわいそうだよね

桜は   無理か

続きは〝今生、もう会えないんだね ④〟 で😊